異端的なスクーターを生みだすイタルジェット

イタルジェットの歴史

1959年、デザイナーかつ設計者であるレオポルド・タルタリーニ氏により設立されたイタルジェットは、イタリア・ボローニャ県カステル・サン・ピエトロ・テルメに本拠地を置くオートバイメーカーです。
おもに小型オフロード車やスクーターなど、小排気量車の製造を中心に展開しています。

以前は全地形対応車(ATV)の生産も行っていました。
2003年に一度経営難に陥り倒産しましたが、その後レオポルド氏の実子であるマッシモ・タルタリーニ氏が2005年11月に再興し、今に至ります。

イタルジェットの特徴

創業以来150台以上のオートバイを生み出してきたイタルジェットの特徴は、イタリアンデザインを追求し、機能性と目立つデザインが両立されていることです。
そのデザイン性は世界的にも評価されており、折りたたみ式のレジャーバイク「パック2」はニューヨーク近代美術館に収められています。

現行のイタルジェット唯一のモデル「ドラッグスター」の歴史は、1995年までさかのぼります。
世界で7万台以上が販売される人気モデルでした。
スクーターとしては特異なデザインと、機能美に満ちたスタイリングが世界中のライダーたちの心をつかんだのです。

イタルジェットを代表するモデル

イタルジェットの代表モデルは、先述の「ドラッグスター125/200」にほかなりません。
1998年に登場した旧型モデルのデザインを引き継ぎつつ、さらに過激なフォルムを持ちます。

ドラッグスター125/200の特徴は、レーシングモデルでも使用される「インディペンデント・ステアリング・システム(ISS)」や、アルミニウム製の新しい「フロントシングルアーム」などの革新的な機構が導入されていることです。
ISSは、イタリアのPAIOLI製油圧式ショックアブソーバーと組み合わせることで車両のフロントエンドに適切なブレーキがかかり、ノーズダイブを最小限に抑えています。
フロントエンドへの負荷伝達がなく、最適なブレーキングアクションを得られるのが特徴です。

押し歩き時にフロントブレーキをかけると、正立型フロントフォークや倒立型フロントフォークのようなフロント部の沈みがありません。
ただし、フットボード部にあるPAIOLI製油圧式ショックアブソーバーはきちんと作動します。
この現象は、通常のバイクに慣れている人にとってとても不思議な感覚でしょう。

ドラッグスターは水冷4ストローク単気筒DOHC 4バルブエンジンを搭載しています。
排気量は125(124cc)と200(181cc)の2タイプで、吸気系にはマグネティマレリ電子噴射が導入されており、最大出力は125が12.5hp/9,500rpm、200が17.5hp /8,000rpmとなっています。